天使の協奏曲 第二話
初めての方へ↓
*第二話*
流される・・・。私はいつ死ぬんだろう・・・どこへ行くんだろう・・
その時、まぶたの奥の奥で、なにかがきらめいた。
『うわあ! 信じられない! ボクとおんなじだあ!』
「・・・え?」
突然響いた声に反応し、私はまた目を開ける。
そこにあった光景は、目を疑うようなものだった。
「・・・だ、誰・・・? な・・・んで・・・。」
私の眼前にいたのは、なんと私と同じ10歳くらいの男の子。まるでティンカーベルのように体から光り輝く粉をふりまき、フワフワと浮かんでいる。そして、にっこりとこちらを見つめる男の子の背中には・・・
翼があった。
『うわあ・・・! ホントにボクとおんなじなの? ねえねえねえ、君も飛べるの? 名前はある? あと、あと・・・。』
この人はどうやら私を仲間だと思って興奮しているようだ。息つく間もない質問の嵐。男の子は目を輝かせてしゃべり続ける。
『・・・あ、それとどうしていきなり現れたのか聞かせてほしいなあ! あの方の考えてることわかんないから、君が来た理由もわかんないんだよ! だからねえ教えて教えて! 他にも知りたいこといっぱいあるんだ!』
私はしばらくあっけにとられていたが、相手が一方的にしゃべり続けていることに気づくと、だんだん落ち着きを取り戻してきた。男の子の光る体が動くたび、目がチカチカする。
考えろ・・・。どうしてこんなことになった?なんでこの人は私を仲間だと思ってるんだろう。なんでだろう・・・。
『趣味とかある? ふだんこんなことしてるとかあ・・・こんなこと考えてるとかあ・・・。あ、あと君の友達も紹介してほしいな!それとね・・
・・・。』
とりあえず状況をするんだ。えっと・・・。
『君の知ってることも教えてほしい!ボク知ってることが少なくて、あの方によく「物を知らなさすぎる」って言われちゃうんだよ!』
えっと・・・。まず私はマンションから飛び降りて・・・。
『君は頭良い? あの方にほめられたことある? ボクあんまりないんだよなあ! 一度くらい「さすがだな」って言われてみたいよ!』
そして・・・、えっと・・・それから・・・。
『あ、話がそれちゃったね! うん、じゃあまずは君の名前と好きなものとここに来た理由と・・・。』
「ぁあああ! もううるさい! ちょっと黙っててよ!!」
見た目にそぐわないこの男の子のマシンガントークっぷりに私はつい声を荒げる。
そして男の子の目をキッとにらみつけた。こうすれば大抵の人はこれ以上踏み込んでこなくなる・・・はず・・なのだが。男の子は「まるで意味がわからない」というようにキョトンとした顔でこちらを見つめてくる。
こいつ・・・。まだ私を仲間だと思ってるんだ・・・。・・・ぁあ!もういい。どうなったって知らない。自分の好きなようにやってやる。
第二話 完