ダックス! 【小説ブログ】

とりあえずつらつらと小説を書き綴っていくブログであります。不束者ですが精進します・・・。

天使の協奏曲 第三話

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            *第三話*

「あのねえ、あなた私を仲間だと思ってるの? 全っっ然ちがう! 私はあなたみたいに翼なんか生えてない! 見ればわかるでしょ!」

 私は相手をにらみつけたまま言い切る。男の子は『え?』と言ったあと、私の体を頭のてっぺんから足の先まで見回した。そして・・・

『うわああああああああ!! ほ、ほほほ、本当だ・・・。君、ボクとおんなじじゃない! なんで!? なんで!? なんでぇ!?』

 男の子はよほど驚いたらしく、光る翼をパタパタさせて飛び回っている。翼がはためくたび、輝く粉が宙を舞う。

 私はため息をつき、とりあえず男の子から離れようとする。しかし、男の子は諦めきれないらしく、私の前に立った。

『ちょ、ちょっと待って、行かないで! ボクよくわからないよ! なんで君は翼がないのに飛べるの? ・・・あ、わかった! あの方がつくった新型のセラフさんだね! ね、ね、そうだよね?』

「・・・。」

 私はしばらく答えられない。話の内容に全くついていけないのだ。

『ねえ、どうして答えてくれないの? 新型のセラフさんだから翼がないんじゃないの? ねえ、ねえ、どうして?』

 私は少しの間うつむいていたが、やがて顔を上げる。

「・・・あなたの・・・言うことがよくわからない。」

『え?』

 さらに語勢を強くして言う。

「さっきからよくわからないことベラベラしゃべってるけど! あなた何なの? 『あの方』って誰? 新型のセラフ? なにそれ? 勝手に知らない単語使わないで! 私だってなんで落ちないで浮いてるのかわからないんだから!」

 一気にしゃべり終え、私は息を切らす。そして、私は男の子の顔から笑顔が消え、代わりに不安の色が浮かんでいることに気づく。

『・・・え? じゃあ、君も自分が何で飛べるかわからないの・・・?

い、いや、それよりも「あの方」を知らない? ま、まさか・・・君・・・。』

「・・・?」

 男の子は後ずさりしながら小さく、でもはっきりと言った。

『君・・・は・・・。・・・人間・・・なの?』

                      第三話 完

 

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