ダックス! 【小説ブログ】

とりあえずつらつらと小説を書き綴っていくブログであります。不束者ですが精進します・・・。

2015-01-01から1年間の記事一覧

天使の協奏曲 第二十四話 

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第二十四話* もっとわからなくなった。だから、その「奇跡」とは何なのかが知りたいのだ。 ムスッとした顔で「どういうこと?」とたずねると、エルはまたくすりと笑った。 『あれ交通事故っていうんだよね? ト…

天使の協奏曲 第二十三話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第二十三話* 確かに・・・。どうして私、こんな体になっちゃったんだろう? こうやってエルと話してると、これが当たり前のような気がしてきちゃうけど、やっぱりおかしいよなあ・・・。 突然けたたましくクラ…

天使の協奏曲 第二十二話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第二十二話* 私はエルの笑顔を見ながら、ふと思った。 ・・・エルを見てると不思議な感じがする。天使ってみんなこうなのかな? まあ、エル以外の天使は見たことないけど・・・。 その時、果てしない闇の中にぽ…

天使の協奏曲 第二十一話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第二十一話* ふとその時、空気に紛れるような声で、エルが言った。 『・・・君は・・・、ボクの知らないこと、いっぱい知ってるんだよね? 人間だから。』 風が頬を撫でる。私はエルの心中をはかりかねた。 『…

天使の協奏曲 第二十話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第二十話* 『ご、ごめんね。変なこと言っちゃって・・・。ボク、香織に会うために来たのに、なんか暗い話になっちゃったね・・・。』 エルの言葉に対し、私は何も答えなかったが、頭の中ではその言葉がなぜか何…

天使の協奏曲 第十九話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十九話* ベランダの向こう側に立ち、コンコンと窓をたたいていたのは、まさしくあの男の子、エルだった。エルはひときわ目立つその光る体で窓の外からこちらを眺めている。そして私起きたことに気づくと、た…

天使の協奏曲 第十八話

初めての方へ↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十八話* その時、ふとあの男の子、エルの言葉が思い浮かぶ。 『だって、ボクは神様の奇跡をみんなに伝えるセラフ・・・いや、“天使”だから。』 『ボクは君を止めなくちゃいけない。助けなきゃいけないんだ…

天使の協奏曲 第十七話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十七話* おおはしゃぎするエルを横目で見ながら、私はかすかにため息をついた。 まあ・・・いいか。「友達」の意味はあとで思い出そう・・・。 そして立ち去ろうとする私に、エルはさらに言った。その声は先…

天使の協奏曲 第十六話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十六話* エルは立ち去ろうとした私の手を、うしろからつかんだ。 『ねえ、どうしたの? ボク、なんか変なこと言った?』 私は手をふりほどいて行こうと思ったけれど、エルの目を見ると、なぜだがそれもできな…

天使の協奏曲 第十五話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十五話* それからさらに、私とエルはいろんなところへ行った。 遊園地。 灯台が見える海。 動物達が寝静まった草原。 エルに連れられて、私は昼の世界とは違う夜の世界を見た。 それは、確かに私の知っている…

天使の協奏曲 第十四話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十四話* 私は思わず目をつぶった。ブランコから手を離し地面に転げ落ちる自分の姿が頭によぎる。しかし、地面に体を打つ衝撃はいっこうにない。体全体に風が当たり続けているだけだ。あれ?と思うまもなく、…

天使の協奏曲 第十三話 

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十三話* 次に行ったのは小高い丘のある公園だ。丘の上には一本の木があり、他の木を見下ろすようにたたずんでいた。エルは公園の遊具の中の一つ、ブランコに舞い降り、私に手を振る。 『おーい、これで遊ぼう…

天使の協奏曲 第十二話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十二話* 男の子・・・いや、エルは、そう言って遠い彼方を指さした。 「・・・?」 エルはにっこりと笑い、 『いこう!香織』 と言った。私は戸惑いながらも「どこに?」と尋ねる。エルは明るい声で答えた。 …

悪魔 最終話 原作:太宰治

初めての方↓ 悪魔 第一話 原作:太宰治 読者案内 ※この物語はセリヌンティウスから見たお話です。「走れメロス」の物語の概要を知っている方にお勧め致します。 *第四話* ふと誰かの声がした。セリヌンティウスはそのか細い声を聞きとろうと耳をすませた。…

悪魔 第三話 原作:太宰治

初めての方へ↓ 悪魔 第一話 原作:太宰治 読者案内 ※この物語はセリヌンティウスから見たお話です。「走れメロス」の物語の概要を知っている方にお勧め致します。 *第三話* セリヌンティウスのほとばしるように熱く澄んだ目から涙がこぼれ落ちた。自身の情…

悪魔 第二話 原作:太宰治

初めての方↓ 悪魔 第一話 原作:太宰治 読者案内 ※この物語はセリヌンティウスから見たお話です。「走れメロス」の物語の概要を知っている方にお勧め致します。 *第二話* 「わしは欺かれたおまえをかなしい気持ちで磔刑に処さなければならぬ。さあ、命乞い…

悪魔 第一話 原作:太宰治

初めての方へ↓ 読者案内 ※この物語はセリヌンティウスから見たお話です。「走れメロス」の物語の概要を知っている方にお勧め致します。 *第一話* メロスは、友であるセリヌンティウスに一切を語った。三日のうちに村で妹の結婚式を挙げさせ、帰ってくるこ…

読者案内

こんにちは。私、dachsと申します。 この度は私のブログにお越しくださりありがとうございます。 よかったらdachsの小説をお読みください。 ~案内~ Ⅰ、天使の協奏曲 生きるのが嫌になった主人公の香織は、マンションの屋上から飛び降りようとする。しかし…

天使の協奏曲 第十一話

初めての方↓ 天使の協奏曲 第一話 読者案内 *第十一話* 男の子はにっこりとすると、私の手を握ったままはばたき、満天の夜空へ飛び出した。私は男の子のスピードについていけず、バランスを崩してしまう。それでも男の子は前へ前へと飛んでいる。手を引か…

天使の協奏曲 第十話

初めての方へ↓ 読者案内 *第十話* これは・・・前にも感じたことがある。確か魂だけの体からもとの体に戻ろうとして、自分の体にさわったときだ。 本当にそれと同じであればこのあと体が軽くなり意識を失うはず。しかし、それは起こらず、代わりに聞いたこ…

天使の協奏曲 第九話

初めての方へ↓ 読者案内 *第九話* ふりむいた先にいたのは、やはりあの男の子だった。痛いくらい私の腕を握っている。私は最初殴ったことに怒っているのだと思ったが、アザのできた男の子の顔は、哀しくこちらを見つめていた。 男の子は表情を変えず、言っ…

天使の協奏曲 第八話

初めての方へ↓ 読者案内 *第八話* 男の子はとてもうれしそうに言った。私は横目で「・・・そう」と言い、静かに立ち上がる。そして、私は強く言い放った。 「じゃあ、その『神様』に言ってよ! 私はもう生きたくないから殺してって!! 神様が私はつくった…

天使の協奏曲 第七話

初めての方へ↓ 読者案内 *第七話* そう言うと同時に、私は男の子を怒りに満ちた目でにらみつけた。自分でも今の顔はすごくこわいんだろうなって思うほどなのに、男の子は全く動じない。それどころか、「それよりこわいものを知っている」とでも言いたげな…

天使の協奏曲 第六話

初めての方へ↓ 読者案内 *第六話* 『・・・おーい、大丈夫? どうしたの、いきなり・・・。』 頭上から男の子に呼びかけられ、私は飛び起きる。あたりを見回し、自分の状況を確認した。 これは・・・もとの体に戻った・・・? 魂だけになったら、もとの体…

天使の協奏曲 第五話

初めての方へ↓ 読者案内 *第五話* 着ている服、肌、髪の色、靴、顔型から体型までそっくりそのまま私だった。 ぴくりとも動かない・・・。どうして私の体が・・・? じゃあ今いる私はなに? まさか私とまったく同じ人がいた、なんてあるわけないだろうし・…

天使の協奏曲 第四話

初めての方へ↓ 読者案内 *第四話* 男の子の真剣な表情に少し違和感を覚えながら、私は答える。 「そ、そうだよ。それがどうしたっていうの。」 それを聞いた瞬間男の子の顔は青ざめた。口だけパクパクと動かし、震える指で私を指さす。 そしてしばらくあわ…

天使の協奏曲 第三話

初めての方へ↓ 読者案内 *第三話* 「あのねえ、あなた私を仲間だと思ってるの? 全っっ然ちがう! 私はあなたみたいに翼なんか生えてない! 見ればわかるでしょ!」 私は相手をにらみつけたまま言い切る。男の子は『え?』と言ったあと、私の体を頭のてっ…

天使の協奏曲 第二話

初めての方へ↓ 読者案内 *第二話* 流される・・・。私はいつ死ぬんだろう・・・どこへ行くんだろう・・ その時、まぶたの奥の奥で、なにかがきらめいた。 『うわあ! 信じられない! ボクとおんなじだあ!』 「・・・え?」 突然響いた声に反応し、私はま…

天使の協奏曲 第一話

初めての方へ↓ 読者案内 ********************************* 恐れるな。わたしはあなたとともにいる。 たじろぐな。わたしがあなたの神だから。 わたしはあなたを強め、あなたを助け、 わたしの義の右の手であなたを守る。…