天使の協奏曲 第四話
初めての方へ↓
*第四話*
男の子の真剣な表情に少し違和感を覚えながら、私は答える。
「そ、そうだよ。それがどうしたっていうの。」
それを聞いた瞬間男の子の顔は青ざめた。口だけパクパクと動かし、震える指で私を指さす。
そしてしばらくあわてふためいたあと、なぜか男の子は手を組んで目をつむった。祈るような格好だ。
『あわわわ・・・、か、神様! どうしましょう。人間と関わっちゃいました! ごめんなさい! 神様に「私がいいというまで人間と関わり合いになっちゃいけない」って言われていたのに! ごめんなさい! ごめんなさいっ
ボク、だめなセラフでしょうか? ルシファーみたいに堕天使になっちゃうんでしょうか!? うわあああぁぁぁ・・・。』
男の子はまたもやわけのわからないことをしはじめた。
「・・・え?」
な、なに・・・? 誰かと話しているの? ちょっと気持ち悪いな・
・・。
その間にも男の子は目をつむりながら何やら話しているようだ。『ええ!?』だとか、『そうなんですか!?』だとか、意味のわからない言葉を使って真剣そうに話している。
話の内容からして、私のことを話しているのかな・・・。それに、「神様」、「神様」って言ってるけど、もしかして「あの方」って・・・。
私は男の子の発する言葉全てに悩み、頭を抱える。すると、どうやら男の子は話し終わったようで、くるっとこちらを振り返った。私はつばを飲みながら言った。
「な、なに・・・?」
男の子はこちらをじっと見つめたあと、ずんずん近づいてきた。そして私の肩をがしっとつかむ。私はそれに反応し、「わ!」と声を上げるが、男の子は構わず、口を開ける。
『あのね! ボク、ぜーんぶわかっちゃった!』
「・・・?」
私は目をぱちくりさせる。
『君がなんで飛べるのか、今ぜんぶあの方に教えてもらったんだ!』
男の子は光る体をきらめかせ、私に笑いかける。そして、男の子は片方の手で私の後ろを指さした。
『ほら、後ろ、見てごらん。』
私は言葉のままに後ろを見た。そして、そこにあったものに、私は「あっ」と息を飲んだ。
「え・・・?・・・私の・・・体? なんで・・・?」
さきほど飛び降りたマンションの屋上にあったのは、まぎれもなく私の体だった。
第四話 完