天使の協奏曲 第六話
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*第六話*
『・・・おーい、大丈夫? どうしたの、いきなり・・・。』
頭上から男の子に呼びかけられ、私は飛び起きる。あたりを見回し、自分の状況を確認した。
これは・・・もとの体に戻った・・・? 魂だけになったら、もとの体に触れれば、戻れるのか・・・。いや、そんなこと、今は関係ない。もとに戻ったことは・・・。
「これで・・・これで、やっと死ねる・・・!!」
その言葉に男の子は目を見開く。しかし、私は構わずフェンスに向かって飛び出した。
何度かジャマが入ったけど、今度こそはちゃんと死んでやる!
その時、私の目の前に、光る手が伸びた。
私はそれに驚いて体のバランスを崩してしまい、そのまま屋上のコンクリートに倒れこんだ。
今の手は・・・あの男の子?
私はゆっくりと体を起こし、後ろを見ると、男の子がこちらをするどいまなざしで見つめているのが見えた。
男の子はくちびるをしっかりと結んでいたが、やがて口を開いた。
『・・・今、「これでやっと死ねる」って言った?』
その男の子の表情は紛れもなく、
お、怒ってる・・・?
私は顔を背けることもできず、男の子を見つめた。
『・・・やっぱり言ったんだね。』
男の子はそう言うと、はばたき、私の目の前に舞い降りた。そして重々しく口を開く。
『・・・どうして?』
私は目を見開く。
男の子の声は世界全体に響き渡っていくように重く、はっきりとしていたが、同時に哀しみも含んでいるような気がした。
「え・・・どう・・・してって・・・。そんなの・・・。」
言葉に詰まる。男の子の目の中では光が炎のようにメラメラと大きくなり、私を一心に見つめてくる。
な、なんなの・・・。自殺する理由なんか、「死にたいから」ってことしかないのに・・・。
私は困惑しながらも口を動かして言った。
「・・・そんな・・・こと、どうでもいいでしょ。あんたには関係ない。私のジャマしないで!」
第六話 完