天使の協奏曲 第七話
初めての方へ↓
*第七話*
そう言うと同時に、私は男の子を怒りに満ちた目でにらみつけた。自分でも今の顔はすごくこわいんだろうなって思うほどなのに、男の子は全く動じない。それどころか、「それよりこわいものを知っている」とでも言いたげな様子だ。
『関係ないことないよ。確かにボクは君の名前すら知らないけど、ボクは君を止めなくちゃいけないんだ。』
・・・は? ・・・止めなくちゃいけない? なにそれ? 意味わかんない・・・。
私は真剣そうに男の子を見た。その握りしめられた手はかすかに震えている。
『君の命も、ボクの命も、自分だけのものじゃないんだよ。ボ、ボク、無知でバカだから、あの方の考えてることと合ってるかどうかはわかんないけど・・・。でも! 少なくとも、君やボクの命はあの方からもらったものだから、大切にしなくちゃいけないんだよ。ボクは・・・そう思ってる。』
男の子はそこまで言い終えると、私の目を見つめ、ニコッと笑ってみせた。
私はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「・・・ひとつ、聞きたいことがあるんだけど。」
男の子は、私が質問をしようとするのがうれしかったらしく、先ほどにも増して『なになに?』と笑いかけた。
私は男の子の光る翼を見ながら言った。
「・・・『あの方』っていうのは・・・もしかして・・・。」
『?』
今度は男の子のキョトンとした顔を見る。
「・・・『神様』のこと?」
私は口を閉じ、男の子の目を見つめる。男の子は目をぱちくりさせたあと、大きくうなずいた。
『うん! もちろん神様のことだよ! ・・・あ、君は人間だから、知らなかったのかあ。ごめん、次は君にもわかるような言葉を使うよ!』
第七話 完