ダックス! 【小説ブログ】

とりあえずつらつらと小説を書き綴っていくブログであります。不束者ですが精進します・・・。

天使の協奏曲 第八話

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           *第八話*

 男の子はとてもうれしそうに言った。私は横目で「・・・そう」と言い、静かに立ち上がる。そして、私は強く言い放った。

「じゃあ、その『神様』に言ってよ! 私はもう生きたくないから殺してって!! 神様が私はつくったんなら、その私を消すこともできるんでしょ!?」

 男の子は目を見開く。そしてしばらく私を見つめていたが、やがて目を伏せた。

『・・・むりだよ。』

「なんで!?」

 叫ぶ私に向かって、男の子はかすかに微笑んだ。

『だって君、神様のことなんにも知らないんだもん。神様はボクらをつくったんだよ? お父さんやお母さんに「私を殺して」って言ったって、そうするわけないじゃない。それとおんなじ。』

 男の子は穏やかに言った。しかし、自殺するのを邪魔した男の子への怒りはおさまらない。

  神様が私はつくった? は? だからなんなの。生きることの方がつらいから自殺しようとしたのに、ジャマしないでよ。ああ、こうなったら・・・。

 私はゆっくりと歩きだし、男の子に近づいた。

「ねえ。」

 そう言うがはやいか、私は男の子の頬を殴り、死にもの狂いで体を突き飛ばした。

 男の子からうめき声がもれる。しかし、私は構わず走り出す。行き先はフェンスの向こう側だけ。

 ただ「死にたい」という思いだけで動く私には、この世界とうまく付き合っていく自信などない。

 だから私は走る。その先になにがあるのか、なんて知らずに。

「はあっ! はあっ・・・! もう少しだ・・・っ!」

 私は息を切らしながら言った。

 その時、後ろから誰かに腕につかまれた。それも強く。

「!? 痛っ・・・!」

 そのまま腕を後ろに引っ張られ、重心がずれる。それでも私は歯を喰いしばり、なんとか持ちこたえることができた。だが、それのせいで足は止まってしまった。

 私は腕をつかんだ犯人が誰かすぐにわかり、振り向いて叫んだ。

「やめてよ!! 私は死にたいの! しつこいんだよ!!」 

                        第八話 完

                 

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