ダックス! 【小説ブログ】

とりあえずつらつらと小説を書き綴っていくブログであります。不束者ですが精進します・・・。

天使の協奏曲 第九話

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         *第九話*

 ふりむいた先にいたのは、やはりあの男の子だった。痛いくらい私の腕を握っている。私は最初殴ったことに怒っているのだと思ったが、アザのできた男の子の顔は、哀しくこちらを見つめていた。

 男の子は表情を変えず、言った。

『言ったでしょ。ボクは君を止めなくちゃいけない。助けなきゃいけないんだ。そう神様に言われたんだ。』

 私は顔をひきつらせる。

「だから意味わかんない! なんで自分を殴った人を助けるの!? どうかしてる!!」

 行き場のない感情を男の子にぶつけ、私は叫ぶ。

 男の子はそんな私の腕をはなし、今度は両手で私の手を強く握った。

『だって、ボクは神様の奇跡をみんなに伝えるセラフ・・・・・・

                 ・・・いや、“天使”だから。』

 男の子は私に笑顔を向ける。

 私はなぜかしばらくの間、男の子から目を離せなかった。

  て・・・んし・・・? 天使・・・?

 普通だったら「なにそれ」と鼻で笑っていたのだが、なぜだが今は不思議な感じがする。ああ、きっと変なことがたて続けに起こったから、私の常識が崩れてしまったんだ。今の私には、そう思うことしかできなかった。

 突然、男の子の手が前にも増して光りはじめた。その光は男の子の手だけに留まらず、握った私の手をも伝い、広がってゆく。男の子と私がそれに驚いていると、いきなり視界が白銀の世界に変わった。

                      第九話 完

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