ダックス! 【小説ブログ】

とりあえずつらつらと小説を書き綴っていくブログであります。不束者ですが精進します・・・。

天使の協奏曲 第十話

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            *第十話*

  これは・・・前にも感じたことがある。確か魂だけの体からもとの体に戻ろうとして、自分の体にさわったときだ。

 本当にそれと同じであればこのあと体が軽くなり意識を失うはず。しかし、それは起こらず、代わりに聞いたことのない歌が聞こえ始めた。

 

   伝えよ その奇跡 贖いの主を

   永遠の恵み あまねく地に満つ

   喜びたたえよ

 

 かすかに響く歌声。その時、体がフッと軽くなった。あ、と声を上げる間もなく意識がとんだ。

 

「はっ!」

 体に違和感を感じ、目を開ける。

  これは・・・まただ。また・・・

「・・・浮いてる。」

 これで2回目だ。私の体は魂だけになり、宙に浮いていた。でも前よりは体のバランスをうまくとれている。下を見ると、思った通り自身の体があった。やっぱり、と思いつつ、私はあることに気づく。

 あれ? あいつは? あの男の子がいないけど・・・どこ?

『ホントすごい! ボクの手を握ってただけで、また魂抜けちゃった! 君の体、どういう仕組みなの??』

 後ろから呼びかけられ、私は振り向く。そこには光る翼を動かし、飛んでいる男の子の姿があった。男の子は不思議そうな顔で私を見つめている。しかし、それもすぐにうれしそうな顔に変わった。

『きっと神様のおかげだね! すごいなあ!』

 男の子はそういうと、私の手をとった。

「・・・?な、なに?」

                    第十話 完

 

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